黒酵母(アウレオバシジウム)β-グルカンの投与で乳牛の体細胞が低減
試験内容
試験依頼先:C中規模酪農場
試験実施期間:平成22年8月~11月(3ヶ月間)
実施農場:C中規模酪農場
試験動物:ホルスタイン種
試験要領:搾乳中のホルスタイン種中、牛群検定成績表の体細胞数成績が30万個/mL以上の個体6頭。
検体:アウレオバシジウム培養液(A飼料:黒酵母培養液)
給与方法:直接経口投与。1日1回午前または午後に3ヶ月間与え続ける。
試験区:1群(N=6)、対照区:1群(N=13)を設定
■試験飼料
黒酵母(アウレオバシジウム)培養液
■給与方法
黒酵母(アウレオバシジウム)培養液300mLを直接経口投与。1日1回午前または午後に3ヶ月間与え続ける。
■試験方法
黒酵母(アウレオバシジウム)培養液投与群と非投与群で体細胞数の推移を比較した。
結果
体細胞数が30万個/mL以上の慢性乳房炎症状のウシ(N=6)に黒酵母(アウレオバシジウム)培養液を投与したところ、投与群(橙ライン)は、平均体細胞数188万個/mLだったものが、3カ月で平均47万個/mLに低減し、平均値では非投与群(緑ライン)と逆転をした(図1)。
考察
ここでいう体細胞は、乳汁中に含まれる白血球と脱落した上皮細胞を意味する。乳房炎は、病原微生物が乳房で増殖するなどして炎症が起きた状態をいう。この炎症から身を守るために、血液中の白血球が増加し、必然的に乳中の白血球も増加する。また傷んだ上皮細胞も脱落して乳中で増加していく。そのため、体細胞数は、乳房炎の指標とされている。
今回、平均体細胞数188万個/mLのウシに、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液を投与したところ、3カ月で平均値が47万個/mLに下がっていた。(P<0.05 有意差あり)また、体細胞数だけではなく、乳房炎の原因菌でもある大腸菌などの汚染菌も減少していた。一方、血液検査では正常範囲を大きく逸脱するような変動は見られなかった。よって、アウレオバシジウム培養液投与により、慢性乳房炎の指標である体細胞数が低減し、また投与による副作用はないと推察される。その安全性は消費者にアピールできるものであり、黒酵母(アウレオバシジウム)培養液の投与は、ウシの健康維持のために有用であることが示唆されるものである。